乳がんの手術を終えて退院すると、今度は家で傷のお世話が始まります。
「傷はどんな状態?」
「シャワーはいつから入れる?」
「傷には何か貼るの?」
「ドレンを抜いたあとの穴はどうなるの?」
手術前の私は、退院してからの傷のことを、あまり具体的には想像していませんでした。
今回は、私の場合の退院したときの傷の状態から、その後の傷のケアや経過について書いていきます。
手術当日のことをもっと詳しく知りたい人は「手術前日から退院までの流れを詳しくまとめます」の記事をご覧ください。
※ここに書いているのは、私が病院から受けた説明・指示と、実際に自分で行ったケアについてです。傷の処置方法やシャワーの開始時期などは病院によって違うと思うので、主治医や病院の指示を優先してください。
退院したとき、手術の傷はどんな状態だった?
手術の傷も、傷から出る血液などを外に出すためのドレンチューブが出ていた穴も、入院中はガーゼで覆われていました。
そして退院の日。
手術の傷については、それまで覆われていたガーゼを外して、医療用の不織布テープを貼ってもらいました。
テープは3~4cmほどにカットされ、傷に対して垂直になるように、少しずつ重ねながら何枚も貼られていました。
ドレンチューブを抜いてもらい、チューブを通していた穴には、大判の絆創膏のようなものが貼られました。
ドレンが取れたことで、退院後はシャワーに入ってOKとのこと。
入院中は、傷やドレンの部分を濡らさないように下半身浴と洗髪だけだったので、退院してやっと普通にシャワーを浴びられるようになりました。
乳がん手術、全摘後の傷の見た目
私は右が乳管がん、左が小葉がんで、左側だけ脇のリンパ節の切除もしています。
それでも、見た目の傷の大きさは左右でそれほど変わりませんでした。
傷は、おへそから20cmほど上の位置を下端にして、左右に10cmほど。
脇に向け、ハの字を逆さまにしたような感じです。
「 \ / 」
↑こんな形です。
手術の傷そのものには、思ったほどショックを受けなかった
手術後の傷を見るのは正直ちょっと怖いと思っていました。
入院中も傷はガーゼで覆われていましたし、退院するときにはテープが貼られました。
その後も、テープを貼り替えるとき以外は、傷をじっくり見ることはあまりありませんでした。
傷自体も痛くありませんでした。
なので、意外にも、手術の傷そのものに対しては、思っていたほどショックを受けなかったんです。
ところが、別のところで「手術したんだ」と実感することになりました。
初めて自宅でシャワーを浴びたとき
退院して、家で初めてシャワーを浴びました。
入院中は傷を濡らさないようにしていたので、家で普通にシャワーを浴びられること自体は嬉しかったです。
でも、洗面所の鏡に映った自分の姿を見て、ふと胸元に目がいきました。
「あれ……胸がないんだ」
傷がどうこうというより、胸のふくらみがなくなっていることに、改めて気づきました。
ショック……という言葉もちょっと違う気がします。
自分の体なのに、見慣れない。
今まで見ていた自分の姿とは違っていて、なんだか自分の体じゃないような感じ。
手術を受けることも、胸を全摘することも、頭では分かっていました。
でも、実際に鏡に映った自分の姿を見ると、
「本当にこうなったんだな」
と、初めて実感したような気がしました。
退院してから1週間。傷は痛くなかったけれど……
退院して1週間後に、最初の診察がありました。
それまでの間、ドレンチューブが入っていた穴に貼った大判の絆創膏も、手術の傷に貼られたテープも、剥がれることはありませんでした。
傷やドレンの穴自体には、痛みはありませんでした。
ただ、とにかく痒い!
入院中、ガーゼやドレンのチューブを体に固定するために、たくさんテープを貼っていました。
そのテープでかぶれてしまい、傷の周囲やドレンの穴の周りが赤くなっていました。
特にドレンの穴は、大判の絆創膏が貼られたまま。
痒くて、もう取りたくて仕方ありません。
でも、絆創膏には少し血や滲出液のようなものが付いていました。
早く剥がしたいけれど、勝手に剥がしていいのかも分からない。
結局、そのまま次の診察を待ちました。
退院後最初の診察で、傷に水がたまっていた
退院から1週間後、最初の診察です。
手術の傷に貼ってあったテープを剥がして、傷の状態を確認してもらいました。
すると、左胸の傷の下側が「ぷにぷに」しています。
触診してもらうと、
「水がたまっていますね」
とのこと。
注射器で抜いてもらうことになりました。
注射器から吸い出されたのは、赤っぽい透明な液体でした。
「こんなところに水がたまるんだ……」
と、ちょっと驚きました。
左胸の上のほう、脇の手前あたりも腫れているような感じがしていたのですが、こちらには水はたまっていませんでした。
ただ、少し腫れぼったくなっているだけとのことでした。
傷には、また医療用の不織布テープを貼ってもらいました。
そして、
「家でも同じようにテープを貼ってください」
とのこと。
貼り替えは1週間を目安にするように言われました。
そこで病院内の売店で購入したのが、「マイクロポア」という医療用不織布テープです。
手術の傷に貼るテープ「マイクロポア」
私の病院では、手術の傷が閉じたあともテープを貼って傷を保護するように指示されました。
テープは2.5cm幅のもの。
これを3~4cmほどにカットして、傷に対して垂直になるように貼っていきます。
テープ同士が少し重なるようにして、傷全体を覆っていきます。
病院からは、このテープを2~3か月ほど貼るように説明されました。
傷はもう閉じています。
それでもテープを貼るのは、皮膚が引っ張られたり、衣類などが傷にこすれたりするような外からの刺激から傷を守るため。
傷が赤く盛り上がったり、ケロイドになったり、傷の幅が広くなったりするのを防ぐ意味があるそうです。
私は結局、4か月半くらいテープを貼っていました
病院からは2~3か月程度と言われていました。
でも、「摩擦が刺激になる」ということだったので、私はもう少し長く貼っておくことにしました。
テープも余っていたので、そのまま貼り続けて、結局4か月半くらい貼っていました。
これはあくまで私の場合です。
貼る期間や方法については、傷の状態によっても違うと思うので、自己判断せず病院の指示に従うのがいいと思います。
手術の傷からテープを剥がすとき
テープを剥がすときは、傷と平行になるように優しく引っ張って剥がします。
テープを少しずつ重ねて貼っているので、一番下に貼ったテープから剥がしていくと、上のテープもつながって一緒に剥がれていきます。
一気にベリッと剥がすのではなく、ゆっくりと。
剥がれてこなければ無理に剥がさず、1週間を目安に張り替えます。
テープを貼り替えるときは、皮膚を清潔に
貼り替えるときは古いテープを剥がして、テープの糊を落とし、皮膚を清潔にしてから新しいテープを貼ります。
ただ、この「テープの糊を落とす」というのが、実際にはなかなか大変でした。
最初の頃は、手術の傷をあまり触るのも怖かったので、石鹸を泡立ててそっと洗うくらい。
無理にこすらず、そのままにしていました。
しばらくして傷の扱いにも慣れてくると、糊のベタベタを指で優しくこすって集め、まとまったところを摘まみ取るようにして落としていました。
ここでも、ゴシゴシこすらないようにしていました。
ドレンチューブが入っていた穴はどうなった?
退院時にドレンチューブを抜いたあとは、チューブが通っていた穴に大判の絆創膏が貼られていました。
この絆創膏もかなり痒かったのですが、剥がれなかったのでしばらく我慢。
退院して2週間ほど経った頃、端のほうが少しめくれてきました。
そこで、もういいかなと思って剥がしました。
その頃には、ドレンが入っていた穴は、一見すると凹んでいて「穴」のように見えます。
でも、よく見ると奥は塞がっています。
完全に平らになったわけではなく、ちょっとしたくぼみのような感じ。
そして、この「穴のようなくぼみ」にシャワーを浴びると、水が少し溜まりました。
手術が終わって退院すれば、すぐに普段通りになると思っていました。
でも実際には傷そのものだけではなく、テープによるかぶれや痒み、ドレンの穴のことなど、退院してからも「手術のあとなんだな」と思うことがいろいろありました。
手術の傷も、少しずつ見慣れてきた
手術を受ける前は、傷がどんなふうになるのか、退院したらどうお世話をするのか、よく分かりませんでした。
手術直後には、自分の体に傷があること自体が大きなことでした。
でも、退院してから毎日過ごしているうちに、傷のテープを貼り替えたり、シャワーを浴びたりしながら、少しずつ傷のある生活にも慣れていきました。
最初は触るのも見るのも少し怖かったのに。
そして今では、傷もだいぶ見慣れてきました。
ただひとつだけ、手術前には想像していなかったことがあります。
胸がなくなったので、もっと真っ平になるのかと思っていたのですが、傷の下にほんの少し膨らみが残っています。
私には、それが少し中途半端な感じに見えるんです。
手術後の傷の凹凸のせいなのか、残っている脂肪によるものなのか、それとも時間が経つとまた変わってくるのか。
今のところはよく分からないので、もう少し長い目で様子を見ようと思っています。
手術を受ける前は、胸を全摘したあとの自分の体がどんなふうになるのか、頭では想像していても、実際の姿までは分かりませんでした。
だからこそ、実際に手術を受けた私の経過が、これから手術を受ける方の参考になればと思います。
傷はすぐに「何とも思わなくなる」わけではないけれど、毎日の生活の中で見ているうちに、少しずつ自分の体として見慣れてくる。
今の私は、そんな感じです。
